書道家・風山は、約10年の書道歴を持ち、独自のスタイルを追求し続ける書道家です。
自然豊かな場所で過ごした経験から名付けた雅号「風山」。
彼の作品からは、伝統的な古典作品から現代の書家まで幅広い影響を取り入れつつ、自らの表現を楽しんでいる様子が感じられます。
そんな風山様がどのようにして書道の道を歩み、どんな未来を描いているのか、彼の飾らない言葉を交えつつインタビュー形式でお届けします。
書道を始めたきっかけ
——風山様、今日はお時間をいただきありがとうございます。まず、書道を始めたきっかけについてお聞かせください。
「書道を始めたのは大学に入ってからですね。それまでは正直、書道に触れる機会がほとんどありませんでした。ただ、大学の書道部の雰囲気が良くて、なんとなくで入ったのがきっかけです。本当に、最初は深い理由とか何もなく、部活動をする感じで始めたんです。」
——なんとなくが、ここまでの道に繋がったんですね。それにしても、書道部の雰囲気が良かったというのは素敵ですね。書道部での経験がその後の書道活動にどのように影響したのでしょうか?
「大学の書道部で、最初の3,4年はずっと臨書(古典を手本にする書道の練習方法)をしていました。臨書は書道の基本ですが、そこで基礎をしっかり固めたことで、今の自分があると思っています。」
——その後、独学で学び続けているということですが、なぜ独学にこだわっているのでしょうか?
「特定の流派の影響を受けたくないというのが一つの理由です。流派に入ると、どうしてもそのスタイルに縛られてしまうことがあるので、もっと自由に自分の書を追求したいという気持ちがあります。でも正直に言うと、教室に通ったりするのが面倒だと思ってしまう性格もあって(笑)、今は独学でやっています。ただ、独学に特別なこだわりがあるわけではないので、いつか教室や会派に入ることも考えています。」
風山様の書道に対するアプローチは非常に柔軟です。「書は自由であるべきだ」との信念が感じられ、彼の作品にその自由なスタイルが反映されています。
書道の独学ならではの難しさ
——独学で書道を学んでいる中で、どのような難しさを感じていますか?
「やっぱり一番の難しさはモチベーションの維持ですね。誰かが見ているわけでもなく、指導者がいないので、自分自身でペースを管理しなければならない。そこで、Xに作品を上げることで少しでも自分にプレッシャーをかけて、『書かなきゃ』と思うようにしています。」
——Xで作品を発信するのは、書道家としても励みになるんですね。
「また、書についての交流がないのも少し寂しいですね。書道は、言葉では表現しにくい部分が多いので、実際に人と書を通じて対話することで得られるものも多いです。それが独学だとどうしても少なくなってしまう。」
交流が少ないという点での悩みも率直に語ってくれた風山様。しかし、その一方で、彼の作品はXで認知を広げており、SNSを通じて新たなつながりが生まれることも期待しています。
目指す理想の書
——風山さんの理想の書についてもお伺いしたいです。どういった書を目指していらっしゃいますか?
「私の理想の書は、格調の高さと現代性を両立させたものです。格調の高さは必須ですが、ただ伝統的であるだけではなく、現代に息づくものでもなければならない。つまり、伝統を重んじながらも、今の時代に合った感覚や価値観が反映されていることが重要だと思います。」
彼の言葉からは、書道に対する深い哲学が垣間見えます。格調高い書を目指しつつも、それが現代にどう受け入れられるかという視点も持ち続けているのです。
「ただ、これを両立させるのは非常に難しいことでもあります。伝統に忠実であればあるほど、現代的な感覚が薄れてしまうことがあるし、逆に現代性を追求しすぎると、格調が失われることもある。そのバランスが非常に難しいところです。でも、それが私の理想ですね。」
——格調の高さと現代性の両立は、確かに難しいですが、とても魅力的な目標ですね。影響を受けた書家や古典作品はありますか?
「やっぱり王羲之(おうぎし)が芯にあります。彼の作品は何度も臨書してきましたし、その影響は大きいですね。ただ、最近は特定の書家にこだわることなく、その時々に応じていろいろな古典作品を参考にしています。あまり一つのスタイルに固執しないようにしていますね。」
——古典を重視しつつ、自分自身のスタイルも大切にされているんですね。作品制作のプロセスについてももう少し詳しくお聞かせいただけますか?
「作品は、実はかなり気ままに書いています(笑)。基本的に草稿を作ることもなく、一発で仕上げるスタイルです。何度も書き直すというよりは、その瞬間の感覚を大事にしています。完璧を求めすぎると、かえって勢いが失われることがあるので。」
—— なるほど、直感を信じる制作スタイルなのですね。
風山様の書道は、伝統を大切にしつつも、その枠にとらわれない自由なスタイルが特徴です。
書の可能性と未来への展望
——今後、書道活動でどのような目標や展望をお持ちですか?
「自分の書というものを確立することが一番の目標です。まだまだ模索している段階ですが、これからも試行錯誤しながら、自分らしい書を追求していきたいです。また、作品を発表し続けて、いろんな人に見てもらい、楽しんでもらえるようにしていきたいですね。Xなどで気軽に作品を発信できる時代ですから、もっと多くの人に書道の魅力を伝えていければと思っています。」
——SNSは現代ならではの発信手段ですね。書を通じて伝えたいメッセージがより広がりそうです。書道の未来について、どのように考えていますか?
「書道は、最終的には自分の個性や考えを表現する手段だと思います。誰でも日常的に文字を書くわけですが、その筆跡にそれぞれの個性が表れますよね。書道はそれをより意識的に、芸術として表現するものだと思います。特に今の時代は、多様性が重要視される社会ですから、書という文化がますます大切になってくるのではないでしょうか。」
風山様の言葉には、書道が単なる美しい文字を書く技術ではなく、自己表現の一つであり、現代においても重要な文化としての役割を果たしているという信念が込められています。
書を通じて感じてほしいメッセージ
——最後に、風山様の書道を通じて、どのようなメッセージを伝えたいですか?
「書道を通じて、見る人に何かしらの感情を感じてもらえたら嬉しいです。格調高いものから、もっと現代的で親しみやすいものまで、いろいろなスタイルで作品を作っていますので、ぜひXで作品を見ていただけたらと思います!」
風山様は、約10年にわたる書道の経験を通じて、伝統と現代のバランスを追求し続ける独自のスタイルを持った書道家です。大学の書道部に入部したことがきっかけで始まった書道の道を、独学で模索しながら歩み続け、SNSを活用して作品を発表することで多くの人との交流も大切にしています。
伝統的な格調の高さを重んじつつ、現代に息づく書を目指す彼の姿勢には、自己表現としての書道への深い思いが込められています。今後も、風山様の新たな挑戦や作品を通じて、さらに多くの人々を魅了し、書道の魅力を広げていくことでしょう。