書道筆は「号数 → 毛の種類 → 穂先の長さ」の3ステップで選べば失敗しません。初心者でもこの順番で考えれば、お店で恥をかくこともありません。
お店で「どれを買えばいいかわからない」「高いの買って使いこなせなかったら嫌だ」と迷う方は多いですよね。書道講師として筆を選んできた経験から、四徳(良い筆の4条件)・兼毫(けんごう)や羊毛などの毛の種類・長鋒と中鋒の違い・学年別の号数早見表・お店で聞くべき3つの質問まで、このページだけで迷わないようにまとめました。硬筆と毛筆の違いを押さえたうえで、自分や子どもに合う1本を見つけていきましょう。
書道筆の選び方を書道講師が解説|迷ったらこの3ステップ

書道筆の選び方で迷ったら、号数(サイズ) → 毛の種類 → 穂先の長さの順で決めるのが最短です。この3つを押さえれば、初心者でもお店で自分に合う1本を選べます。
最初から毛の種類や穂先の長さで悩んでしまう方は多いですよね。でも、先にサイズを絞らないと候補が広すぎて決まりません。紙のサイズと文字数が決まれば、選ぶべき号数は自動的に決まります。
3ステップをざっくり言うと、こうなります。
- 号数:半紙に何文字書くかで決める(半紙6文字なら4号、半紙20字なら6号が目安)
- 毛の種類:初心者は兼毫(けんごう)、経験者は羊毛か馬毛から選ぶ
- 穂先の長さ:楷書は中鋒(ちゅうほう)、行書や草書は長鋒(ちょうほう)が書きやすい
書道教室でも、最初の1本目は「4号・兼毫・中鋒」で始める方がほとんどです。この組み合わせは失敗が少なく、楷書も行書もある程度までカバーできる万能型です。
書道教室や書道団体で指定の筆がある場合はそちらを優先してください。先生によっては独自で作った筆を使わせる場合もあります。迷ったらまず先生に聞くのが一番確実です。
まず押さえたい書道筆の「四徳」|良い筆の4つの条件

書道筆には「四徳(しとく)」と呼ばれる4つの条件があります。良い筆かどうかを見分ける基準で、尖(せん)・斉(せい)・円(えん)・健(けん)の4つです。お店で筆を手に取ったら、この4つをチェックすれば外れを引きにくくなります。
「ノリで固められてるから見分けようがない」と感じる方もいますよね。でも、四徳を知っているだけで、店員さんに質問するときの精度が変わります。
| 四徳 | 意味 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 尖(せん) | 穂先がとがっている | 毛先が1点にまとまり、細い線が書ける |
| 斉(せい) | 毛先がそろっている | ノリを落としたとき、毛の長さがきれいに揃う |
| 円(えん) | 毛の部分が円錐形 | きれいな円錐形で、ひねりや偏りがない |
| 健(けん) | 弾力と耐久性がある | 紙に軽く押して離したとき、曲がったまま戻らない筆は失格 |
中でも一番重要なのは「健」(弾力と耐久性)です。筆は職人さんが手作業で作っているため、同じ種類の筆でもクオリティに差が出ます。弾力がない筆は、紙に押し付けて離したときに毛が曲がったまま戻らないので、その場で店員さんに別の筆を出してもらいましょう。
安くてすぐ傷んでしまう筆を何回も買いなおすより、ある程度の値段で長く使えるものを選んだほうが結果的に安上がりです。最初の1本は3,000円〜5,000円の兼毫筆が目安になります。
書道筆の毛の種類と選び方|兼毫・羊毛・馬毛・ナイロンの違い

書道筆の毛は、大きく分けると兼毫(けんごう)・羊毛・馬毛・いたち毛・ナイロンの5種類があります。初心者に一番向いているのは兼毫です。複数の動物の毛を混ぜてバランスを取った筆で、9割の場面で困りません。
「羊毛が柔らかくていい」「馬毛が硬くて楷書向き」と聞いたことがある方もいますよね。どれも間違いではないのですが、最初の1本で柔らかい羊毛を選ぶと線がぶれやすく、逆に硬い馬毛だけだと墨含みが悪くなります。そこで、複数の毛を配合してバランスを取った兼毫が初心者の定番になっています。
| 毛の種類 | 硬さ | 墨含み | 向く書体 | 向く人 |
|---|---|---|---|---|
| 兼毫(けんごう) | 中間 | 良い | 楷書・行書 | 初心者・どれか迷う人 |
| 羊毛 | 柔らかい | 非常に良い | 行書・草書・仮名 | 経験者・表現の幅を広げたい人 |
| 馬毛 | 硬い | 普通 | 楷書 | 楷書の基本を徹底したい人 |
| いたち毛 | 硬め | 普通 | 細字・小筆 | 仮名・細字を書きたい人 |
| ナイロン | 硬い | 少ない | 学校書写 | 小中学生・洗いやすい筆が欲しい人 |
ナイロン毛は動物の毛ではなく化学繊維でできた筆です。墨含みは少なめですが、洗いやすく乾きも早いので、小中学校の書写の時間や、筆の手入れに自信がない方に向いています。ただし、線の表現力では動物の毛にかないません。本格的に書道を続けるなら、2本目からは兼毫や羊毛に切り替えていきましょう。
具体的なおすすめの兼毫筆や羊毛筆を比較したい方は、書道講師が選ぶ書道筆おすすめランキングも参考になります。価格帯別・用途別に絞り込めるので、初めての1本選びが楽になります。
穂先の長さで変わる書き味|長鋒・中鋒・短鋒の選び方

書道筆の穂先の長さは長鋒(ちょうほう)・中鋒(ちゅうほう)・短鋒(たんぽう)の3種類です。楷書を書くなら中鋒、行書や草書を書くなら長鋒、隷書や篆書を書くなら短鋒が基本の組み合わせになります。
「同じ号数でも穂先の長さで書き味が変わる」と聞くと、余計に迷う方も多いですよね。でも、穂先の長さは書きたい書体に合わせて選ぶだけなので、実はシンプルです。
- 長鋒(ちょうほう):穂先が長く、墨含みが多い。線に強弱がつけやすいので、行書・草書・大字に向いています。ただし扱いが難しく、筆がぶれやすいので初心者には少し早いです
- 中鋒(ちゅうほう):標準的な長さ。楷書の基本練習に最適で、どの書体でもそこそこ書けます。初心者の最初の1本は中鋒が無難です
- 短鋒(たんぽう):穂先が短く、弾力が強い。隷書・篆書のような筆圧を強く使う書体に向いています。楷書を書く用途には不向きです
最初は中鋒の兼毫筆を1本持っておけば十分です。行書や草書に挑戦したくなったら長鋒の羊毛筆を追加していくのが、失敗しない筆コレクションの増やし方になります。
書道筆のサイズ|号数と学年別おすすめ早見表

書道筆のサイズは「号数」で表記されます。1号が一番太く、10号が一番細いという点が直感と逆なので、最初に覚えておくと混乱しません。半紙(はんし)に書く文字数で選ぶと決まります。
戦前は尺寸(しゃくすん)法で表記されていましたが、1966年(昭和41年)に小中学校への普及を進めるため、書道用品の生産者団体によって、より簡単な「号」が決められました。それ以降販売業者もおおむねこれに従っていますが、「大」「中」「小」で表記するメーカーもあり、統一が取れているわけではありません。
| 号数 | 直径(㎜) | 直径(寸) | 標準字数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 15.0 | 5分以上 | 半紙1字 |
| 2 | 14.5 | 4分8厘 | 半紙2字 |
| 3 | 13.0 | 4分2厘 | 半紙4字 |
| 4 | 11.0 | 3分6厘 | 半紙6字〜 |
| 5 | 10.0 | 3分2厘 | 半紙8〜12字 |
| 6 | 8.5 | 2分8厘 | 半紙20字 |
| 7 | 7.6 | 2分5厘 | 碑文用 |
| 8 | 6.7 | 2分2厘 | 辞令用 |
| 9 | 6.1 | 2分 | 書簡用 |
| 10 | 5.5 | 1分8厘 | 書簡用 |
とはいえ、現在の号数表示はメーカーによって微妙に違います。筆を購入する際は号は参考程度に、具体的な直径サイズで決めましょう。
学年別・用途別のおすすめ号数早見表
「子どもにはどの号数を買えばいい?」という質問はとても多いですよね。学校の書写で使う筆は3号〜4号が基本です。学年別・用途別の目安をまとめました。
| 学年・用途 | おすすめ号数 | 毛の種類 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 小学1〜3年(書写) | 3〜4号 | ナイロン or 兼毫 | 学校指定があれば最優先 |
| 小学4〜6年(書写) | 3号 | 兼毫 | 半紙4字程度の練習用 |
| 中学生(書写・書道部) | 3〜4号 | 兼毫 | 行書も始めるなら長鋒も追加 |
| 高校生(書道) | 3〜5号 | 兼毫 or 羊毛 | 作品制作は号数の幅を広げる |
| 大人(一般・趣味) | 4号中心 | 兼毫 | 最初の1本は4号・兼毫・中鋒 |
| 写経(小筆) | 8〜10号 | いたち毛 | 細字用に別で用意する |
書道教室に通っている場合は、先生の指定を最優先にしてください。教室ごとの指導方針で筆を揃えたほうが、上達が早くなりますよ。学年別に合う具体的な商品名を知りたい方は、書道筆おすすめランキングに価格帯別にまとめています。
実は差がある書道筆の産地|日本製(和筆)と中国製(唐筆)
基本的に日本で作られた筆を「和筆(わひつ)」、中国で作られた筆を「唐筆(とうひつ)」といいます。実は、近代・現代では分業化がすすみ、日本製と中国製の区別がつけにくくなっています。
「国産の筆のほうが安心」と思う方も多いですよね。確かに日本の筆製造技術はすばらしいものがあります。ただし、実際の製造工程は8パターンに分かれていて、「純粋な国産」と言えるものは限られています。
- 原材料を日本国内で調達して、製造もすべて日本
- 原材料は中国のものを用い、製造は日本
- 下処理をした材料を輸入して、日本で製造
- 出来上がった毛の部分だけを輸入して、日本で製造
- 日本風の完成品を輸入して、筆の名前だけを日本で書く
- 日本風に作った完全な完成品を輸入
- 中国で日本人が指導した日本仕様の完成品を輸入
- 原材料から製造までを中国で行った中国風の筆
最も重要なのは毛の部分です。それをどこで作ったかが和筆と唐筆の違いのポイントになります。
書道講師としての一意見ですが、中国製は質とアフターケアが伴わない場合が多いのが現実です。電化製品や衣服などは製造した国名が書かれているのは当たり前ですが、筆にはそういった文化がありません。
筆を買う際には店員さんに聞いてもわからない場合が多く、これを改善するには日本でそのすばらしい製造技術を受け継いだ職人さんを育成していく取り組みが必要になります。購入時は「この筆の毛はどこで作られていますか」と一言聞くだけでも、誠実なお店かどうかがわかります。
失敗しない書道筆の買い方|お店で聞くべき3つの質問
書道筆は書道用具専門店で買うのが一番失敗しません。スーパーや100円ショップでも筆は売っていますが、知識のある店員さんに直接聞ける専門店のほうが、結果的に合う1本を選べます。
「知識がないのではずかしい」「高いものを買わされそうで怖い」と心配する方は多いですよね。でも、どこの専門店も知識のある店員さんがいて、聞いてみれば親切に教えてくれます。予算の上限を先に伝えておけば、範囲内で一番いいものを選んでくれるので、高額な筆を勧められる心配はありません。
書道講師としてお店に入ったとき、まず最初にすることは筆コーナーを探すことではなく、店員さんを探すことです。声のかけ方は次の3つの質問から入ると、スムーズに選んでもらえます。
- 「半紙に○文字で○書を書きたいのですが、どの号数が合いますか?」(例:半紙に4文字でひらがな、半紙に6文字で楷書など、文字数と書体を具体的に伝える)
- 「予算は○円なのですが、その中で一番人気の筆はどれですか?」(予算の上限を先に伝えると、店員さんが高い筆を出してくる心配がなくなります)
- 「この筆の毛はどこで作られていますか?」(和筆か唐筆かを確認する質問。誠実なお店は必ず答えてくれます)
書道教室の先生や書道団体によって基本的な筆が決まっていたり、独自で筆を作って指定にしている場合もあるので、通っている教室があれば先生に聞いてから買いに行くのが一番確実です。
長く使える書道筆の扱い方|洗い方・保管・筆おろし

書道筆は使った後の手入れ次第で、寿命が2〜3倍変わります。筆についた墨液(ぼくえき)をしっかり洗い落として、正しい方法で乾燥させるだけで、同じ筆でも長く使えるようになります。
「筆の手入れ、何をすればいいのか分からないまま放置していませんか」。洗わずに放置すると、筆の根元に「墨溜(すみだまり)」ができて、毛が割れる・抜け毛・切れ毛の原因になります。濡れたまま密封(購入したときについていたキャップをはめて保存)すると、湿気がこもって腐敗や異臭の原因にもなります。
書道筆の正しい洗い方(3ステップ)
- 使い終わったらそのまま水道で洗うか、バケツなどに水をためて両手を使ってていねいに洗う
- 特に根元にたまった墨を指先でつまむようにして、墨がほとんど出てこなくなるまでしっかり洗う
- 洗い終わったら水気を十分に取り、つり下げるなどして筆の先が下になるように乾燥させる(無理なら横に寝かせる)
詳しい洗い方の手順は書道筆の正しい洗い方の記事にまとめてあります。写真付きで解説しているので、初めて洗う方はそちらも合わせて読んでみてください。
書道筆の保管方法|やってはいけないNG保管
筆が乾いていない状態で、歯ブラシ立てのように筆の先を上にして保管すると、根元で墨が固まり「墨溜」ができてしまいます。これが筆が割れる最大の原因です。
使い込むうちに筆先が割れたり開いたりしてきた場合は、書道筆が割れる原因と対処法の記事を参考にしてください。早い段階で気づけば、まだ戻せる場合もあります。
新しい筆の「筆おろし」の仕方
新しい筆はノリで固められている部分をほぐす「筆おろし」から始めます。水またはぬるま湯に筆先を浸して、根元までしっかり指でほぐしてください。急いで墨をつけて書き始めると、ノリが残ったまま書くことになり、線がぶれやすくなります。
小筆や細筆の場合は、穂先から3分の1だけほぐす「半筆おろし」という使い方もあります。流派や用途によって使い分けが変わるので、教室に通っている方は先生に確認するのがおすすめです。正しい筆おろしで始めれば、1本目から気持ちよく書けますよ。
書道講師が選ぶおすすめの書道筆はこちら
ここまで読んで、「具体的にどの筆を買えばいいのか知りたい」と感じた方も多いですよね。選び方の基本がわかっても、実際の商品名まで決まらないと買い物に行けません。
書道講師として使ってきた中で、初心者から上級者までおすすめできる書道筆を価格帯別・用途別にまとめた書道筆おすすめランキングがあります。4号の兼毫筆を中心に、学校書写用のナイロン筆から、作品制作用の羊毛筆まで、用途別に絞り込めるので一本目の選択が楽になります。
中でも人気なのが、書道教室でもよく使われている書道筆「紫乃」という兼毫筆です。弾力と墨含みのバランスが良く、楷書から行書まで幅広く使える1本で、最初の1本としても、2本目の買い替えとしても選ばれやすい筆になっています。
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よくある質問
Q1. 書道筆と絵画用の筆は何が違いますか?
書道筆は先をカットしていない動物の毛で作られ、線の太細やにじみ・かすれなど多彩な表現ができます。絵画用の筆は毛先をカットされていて弾力が強く、一定の圧力で絵の具を塗りやすい作りです。書道の重要な表現要素は「線の変化」なので、扱いに慣れれば動物の毛の違いが線の個性につながります。
Q2. 初心者の最初の1本は何を買えばいいですか?
初心者の最初の1本は「4号・兼毫・中鋒」の組み合わせが無難です。半紙6字前後の楷書が書きやすく、行書もある程度まで対応できます。価格帯は3,000円〜5,000円の兼毫筆を専門店で選んでください。
Q3. 子どもの書写用の筆は何号を買えばいいですか?
小学生の書写用は3号〜4号が基本です。小1〜3年はナイロン毛か兼毫の4号、小4〜6年は兼毫の3号を選ぶと、半紙4字程度の練習がしやすくなります。学校や教室で指定がある場合は、そちらを最優先にしてください。
Q4. 100円ショップやスーパーで売っている書道筆でも大丈夫ですか?
一度だけ書いてみたい・書き初めの1回きりの用途ならそれでも構いません。ただし、続けて使うなら書道専門店で3,000円以上の兼毫筆を買ったほうが、結果的に安上がりです。安い筆は弾力が弱く、線がぶれやすいのでクセがつきやすくなります。
Q5. 書道筆の寿命はどれくらいですか?
使用頻度と手入れの仕方によりますが、兼毫筆の場合、週1回の練習で半年〜1年が目安です。毎日使う場合は3〜6ヶ月で交換時期が来ます。使用後に必ず洗って筆先を下に乾燥させれば、寿命が2〜3倍延びます。逆に洗わずに放置すると、1ヶ月で使えなくなる場合もあります。
Q6. 書道筆と小筆はどう使い分けますか?
半紙に数文字の大きな字を書くのが書道筆(太筆)、写経やはがきの宛名など細字を書くのが小筆です。大きな字を書く機会が多いなら書道筆の4号、細字中心なら小筆の8〜10号を選んでください。両方書きたい方は、太筆1本+小筆1本の2本体制にすると、どの場面でも対応できます。





