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李柏文書(りはくもんじょ)について解説
李柏文書は、中国東晋時代の筆跡です。「李柏尺牘稿」ともいいます。
1909年、日本の大谷光瑞(1876〜1948)が組織した大谷探検隊が、敦煌の西、楼蘭の地で発見しました。
作者は、李柏です。李柏が、焉耆(現在のウイグル自治区)の王に宛てた手紙の下書き、つまり草稿です。
書かれた年代については、324〜328年頃とされています。これは蘭亭序の作者で有名な王羲之が20代のときにあたります。
この文書類は全部で8枚あるのですが、文章が完全な2枚①②については、史書に記載のある人物・李柏の筆跡で、隷書から行草書への書体の変遷を知る資料として貴重な存在です。
李柏は、前涼王、張駿(在位324~346年)に仕えた漢人で、当時、西域長史関内侯でした。
李柏尺牘稿は王羲之の姨母帖()に似ている
李柏尺牘稿が発見されて以来、王羲之の若いころの作品・姨母帖の書風と似ていると指摘されています。
たしかに、隷書の雰囲気を含み、胴太で、温かみのある点画や、右回旋がめだつ筆勢には共通するものがあります。
書き出しの字が大きい点も共通しています。
姨母帖についてはこちらで詳しく解説しています。↓
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