「書道は、教室に通わないと始められない」と思っていませんか。結論から言うと、書道は独学でも始められます。筆と紙があれば、今日から書けます。
ただし、独学には「自分の字を自分で見ることの難しさ」という壁があります。この記事では、書道講師の立場から、大人が書道を始めるときの目的の決め方、道具、練習の進め方、独学で気づきにくい点、そして第三者に見てもらったほうがいいタイミングをまとめました。独学で続けるか、習うかは、読み終えたあとに決めてください。
結論|書道は独学でできる?
| 独学でできること | 独学で難しいこと | |
|---|---|---|
| 道具 | 最小限の道具で始められる | 道具の状態(筆の毛、墨の濃さ)が合っているかの判断 |
| 練習 | 手本を見ての練習、課題を書いての練習 | 筆の動かし方(入り方・角度・抜き方)を、書いた結果だけから見直すこと |
| 上達の確認 | 手本と並べて比べる | 自分の癖に気づくこと(自分では「普通」に見えるため) |
| 継続 | 自分のペースで続けられる | 目標や区切りを、自分で決め続けること |
独学が向いているのは、「まず試してみたい」「自分のペースで楽しみたい」という方です。「同じ癖が直らない」「どこが違うのか分からない」と感じ始めたら、第三者に見てもらうことを考えるタイミングです(詳しくは8節)。
大人になってから書道を始めても、遅いということはありません。自分のペースで続けられる形を選びましょう。
始める前に決めておきたい3つのこと
最初に、次の3つを決めておくと、道具や習い方で迷いにくくなります。
- 目的: 字をきれいにしたい、趣味として楽しみたい、古典を臨書したい、段位を取りたい、のどれに近いか
- 習い方: 独学、通信講座、オンライン教室、対面の教室のどれが生活に合うか
- 予算: 道具代と、月謝をどこまでかけられるか
目的が決まると、練習の中身も絞れます。
| 目的 | 練習の中心 | SHODO FAMのコース例 |
|---|---|---|
| 字をきれいにしたい | 硬筆や筆ペンで、課題の言葉を書く練習 | 硬筆~大人のための美文字レッスン~、【実用】筆ペンコース |
| 趣味で楽しみたい | 課題の言葉を書きながら、自分のペースで | 【書道入門】~基本から楽しむ書の世界~ |
| 古典を臨書したい | 手本(古典)を決めて繰り返す | 高校生・大人向け:古典臨書コース、『九成宮醴泉銘』徹底臨書コース、「蘭亭序」行書臨書コース |
| 段位を取りたい | 会派・団体の制度を確認してから決める | (団体により異なる。段位の記事を参照) |
迷ったときは、「趣味」から始めて、途中で変えて大丈夫です。
独学で揃える道具(最小構成)
最初に必要なのは、次のものです。
- 筆(毛筆。最初は1本で十分)
- 墨液(墨汁)
- 半紙
- 下敷き
- 文鎮
- 硯(墨液を使う場合は、墨を出す小皿でも代用できます)
最初から高価な道具を揃える必要はありません。ただし、筆は、ほかの道具に比べて書き心地への影響が大きいので、選んで買うことをおすすめします。筆の選び方は書道筆の選び方、おすすめは書道筆ランキングで解説しています。道具にかかる費用の全体像は、書道にかかるお金をどうぞ。
お手本の選び方
独学では、お手本が先生の代わりになります。選び方は3つです。
- 古典(臨書): 楷書なら、古くから学習の手本として使われてきた古典があります。『九成宮醴泉銘』はその代表で、当サイトでも詳しく解説しています。
- 練習帳・テキスト: 初心者向けで、課題(手本の言葉や文)がのっているもの。
- 動画: 筆の動かし方が見えるので、静止した手本を補えます。
大切なのは、手本を何冊も集めるより、1冊(または1つの古典)を決めて繰り返し書くことです。
ただし、テキストによって、字形の書き方が違うことがあります。一つのテキストだけを鵜呑みにせず、文字の成り立ちや、古典(昔の人の書)で確かめることが大切です。
課題を書きながら練習する進め方
英単語を覚えるだけでは、英語を話せるようにはなりません。英作文や英会話のような、実践的な練習のほうが効果的です。書道も同じで、基本の筆遣いを部分的に何度も繰り返して練習するより、文字の中で使えるようになることが重要です。点画だけを長く練習し続けると、退屈になりやすく、実際に文字を書くときの感覚とも違ってきます。
そこで、課題の言葉(手本)を書きながら練習する進め方をおすすめします。
- 課題を決めて、通しで書いてみる: 手本のある課題(言葉や文)を選び、まず通しで書く。
- うまくいかない部分を見つける: 手本と並べて、うまく書けていない部分を探す。
- その部分だけを、集中的に練習する: 紙に何度も書いて、できるようになるまで、そこだけを練習する。
- もう一度、通しで書く: できるようになったら、課題の言葉を通しで書く。
- 新しく出てきた部分を意識して、繰り返す: 通しで書くと、また、うまく書けない部分が出てきます。そこを特に意識して、3と4を繰り返す。
ただし、自分では「うまくいった」と思っても、気づけていない直すべき点があったり、正しくないことを一生懸命練習してしまったりすることがあります。そこが独学の欠点で、書の道が、正しくない方向へ進んでしまうことがあります。そういうときに、先生の助言が必要になります(7節・8節)。
自分の字をチェックする4つの方法
独学の弱点は、自分の字が自分で見えにくいことです。次の方法で補えます。
- 手本と重ねる: 薄い紙に手本を写して重ねるか、スマホの写真を半透明にして比べる。
- 離れて見る: 紙を壁に貼って、2〜3メートル離れて眺める。近くでは気づかないバランスが見えます。
- 1週間置いて見返す: 書いた直後は良く見えがちです。時間を置くと、直すべき点が見つかります。
- 日付順に並べる: 書いた紙を日付順に並べると、上達と癖の両方が見えます。
独学で気づきにくいこと
独学では、次のような点に、自分では気づきにくくなります。
- 字形(筆の入り方・角度=線の始まり、線の途中の筆圧と終わりの抜き方、字の中の余白とバランス): 字形は、人によって異なる「正解」が示されていることがあり、よくわからないまま進んでしまいがちです。文字の成り立ちや、昔の人がどう書いていたかにさかのぼって、調べる必要があります。テキストによって書き方が違うことがあるので、一つのテキストだけを鵜呑みにすると、正しくない書き方を身につけてしまうことがあります。
- 細かい筆遣い(はねの方法、線の書き終わりの部分): よくわからないまま、ごまかして書いてしまいがちです。
- 自分の間違いそのもの: 自分では「うまくいった」と思っても、直すべき点に気づけません。正しくないことを、一生懸命練習してしまうこともあります。
ここが、独学の欠点です。自分の字のどこが違うのかを指摘してくれるのは、第三者(先生)です。
習ったほうがいい3つのサイン
次のどれかに当てはまったら、第三者に見てもらうことを考えてみてください。
- 1〜2か月練習しても、同じ癖が直らない
- 手本と自分の字の違いを、言葉で説明できない
- 古典の臨書など、一段上の練習に進みたい
当てはまらないうちは、独学で続けて問題ありません。習うかどうかは、「困ったとき」で構いません。
習い方を比べる(独学・通信・オンライン・対面)
| 独学 | 通信講座 | オンライン教室 | 対面の教室 | |
|---|---|---|---|---|
| 第三者の目 | なし | 郵送で添削(返却までに日数がかかることが多い) | 写真やスマホで提出し、添削が返ってくる教室が多い | 先生が直接見る |
| 向いている人 | まず試したい、自分のペースで | 紙の手本で練習したい | 忙しい、近くに教室がない | 先生と直接話したい |
| 注意点 | 癖に気づきにくい | 添削が少ない、返却が遅い | 教室ごとの差が大きい | 近くに教室がないこともある |
- 通信講座の比較: 書道の通信講座・通信教育を比較
- オンライン書道教室の比較: オンライン書道教室おすすめ9選
- 対面を含めた教室の選び方: 大人が書道教室を選ぶ7つのポイント
SHODO FAMは、オンライン書道教室です。作品をスマホで撮って提出すると、講師が添削して返します(顔出し不要)。添削は月4回(週1回)で、7日間の無料体験があります。
費用の見通し
- 独学: 道具代のみ。
- 教室・オンライン・通信: 月謝がかかる。内訳は書道にかかるお金で解説しています。
- SHODO FAM: 1ヶ月プランは4,250円(税込)、12ヶ月プランは月あたり3,500円(税込)。入会金は0円、7日間の無料体験があります。
続けるコツ
- 練習する時間を決める。
- 道具を出しっぱなしにできる場所を作る。
- 書いた紙を日付順に並べて、変化を見る。
- 区切りごとに、次の課題を決める。
- 第三者の目を、自分に合う形で取り入れる。
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よくある質問
Q1. 大人になってからでも、遅くないですか?
A. 年齢を理由に始められない、ということはありません。自分のペースで続けられる形を選びましょう。
Q2. 独学でも、段位は取れますか?
A. 段位は、書道会や団体ごとに基準が異なります。取得の仕組みは書道の段位は履歴書に書ける?で解説しています。
Q3. 独学の本は、何を選べばいいですか?
A. 初心者向けで、課題(手本の言葉や文)がのっているものを1冊選びます。書き方の説明が、文字の成り立ちや古典にもとづいているかも、確かめてみてください。テキストによって書き方が違うことがあるので、一つのテキストだけを鵜呑みにしないことが大切です。
Q4. 趣味で始めるには、何から決めればいいですか?
A. 最初に決めるのは「何のために書くか」です(2節)。目的が決まると、習い方と道具が絞れます。
まとめ
書道は独学でも始められます。目的・習い方・予算を決めて、道具は最小限、お手本は1冊。練習は、課題の言葉を書きながら、うまくいかない部分を集中的に練習していきましょう。
そのうえで、「同じ癖が直らない」「違いが説明できない」と感じたら、第三者に見てもらうタイミングです。SHODO FAMでは、7日間の無料体験で、添削の中身を確かめられます。







