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行草書巻(行草書羅漢賛等書巻)について
行草書巻は、明代の書家、董其昌の代表作品の1つです。
紙本、31.0×479.5㎝。東京博物館蔵。
書写年代は、1603年(万暦31年)、董其昌が49歳のころにあたります。
内容は「羅漢賛」2首、「初祖賛」、「送僧遊五台」(五律)、「送僧之牛山雞足」(五古)、および禅悦三則、さらに杜甫と李白の詩の比較、蘇軾と趙孟頫の書に関する論、ついでこれについての注をつけて、後記に至っています。
行草書巻(行草書羅漢賛等書巻)の特徴
書き出しは穏やかな行書で書かれています。
ゆったりとした筆運びで始まった書は、興が乗ってくるにしたがって徐々に筆が走り、後半部になると、それまでとは一転して全く異なった書きぶりの草書となります。
後半の流れるような筆使いで書かれた線は、奇抜な形の字姿となり、1行に1字から3字ほどで大小の文字が躍動しています。まるで筆者が沸き起こる感情を筆に託して狂気乱舞するかのようです。
この自由奔放に書かれたこの草書は「狂草」といい、7世紀から8世紀ころ、唐時代の張旭や懐素らが書き始めた書風です。
とくにこの後半の狂草の部分は懐素の自叙帖にとても似ています。
懐素の自叙帖は明時代によく学ばれました。董其昌も自叙帖を学んでおり、臨書作品が伝わっています。