書論

風信帖に書法はない!?「率意の書」とはなにか

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書法について真剣に談論されている場で「書法、書法というけれどもあの有名な風信帖は手紙ではないですか」という人がいます。

これは「風信帖に書法はない」ということです。

一般に風信帖は率意そついの書とされています。

ちなみに率意の書の反対は、用意よういの書といいます。用意の書は、事前に何をどう書くかを決めてから書くことをいいます。

つまり「率意の書に書法はない」と言っていることにもなります。

王羲之の書はほとんどが手紙です。

でも十七帖をはじめ諸帖について、「書法はない」とは言わないですよね。

一体、率意の書とはなにを言うのでしょうか。

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率意の書とは

「率」は字源によると、てがる・かるかるし・わりあてる・あわただし・ありのまま正直・にわかなかたち・だしぬけ・おおむね・天真のままかざらぬとあります。

この意味をふまえて風信帖を見てみても上の意味から考えつく率意はありません。

もしこれを、咄嗟とっさの間、率然そつぜん(突然)として筆をって書いたものだから率意とする、というのなら分かりますが、作者である空海が最澄ほどの人物に贈る手紙に突然思いつきで筆を執るという意味の率意はないと考えたいです。

率意の書は、ある書をつくろうという意図によってなされるものではないということです。傑作けっさくを書こうという野心はなく、書き終わった手紙をかえりみることはありません。

お酒に酔った状態で書いた字は二度とまねできないほどすばらしいと評価する文もあります。

一方、またお酒に酔っぱらって無為に書くのは不可とすると明言した古名家もいます。

いたずらに酔いにまかせてのなぐり書き、一気にさっさと書いたものだからすばらしいと称賛するようなことは、学書者をまどわす不謹慎な態度としなければならないというのです。

王羲之の蘭亭序も率意の書とされていますが、現代に伝えられている蘭亭序は王羲之がお酒に酔いながら書いた下書きなんですよね…(笑)

王羲之は蘭亭序の清書を書きあげるために後日数十百本書いたと伝えられていますが、結局酔った状態で書いた下書きが一番良かったそうです。

酔った状態で書いたのはあくまで下書きで、あとからちゃんと清書を書こうとしていたことから、不謹慎な態度ではないとしましょう。

まとめ

率意の書とは、意図的に良い作品を書こうとねらって書くものではなく、意識せず書いたものが自然ですばらしいという意味だということが分かりました。

冒頭で書いた「率意の書に書法はない」についてですが、たしかに率意の書はねらってその字を書いたわけではないので、書法とはちょっと違うのかもとも思えます。

風信帖は作品全体が自然ですばらしいと評価されていることから、風信帖から学ぶべきものはその自然な雰囲気なのです。

でもその自然な雰囲気を表現するためにはまず字の形、つまり書法が大事になってくるわけです。

つまり、風信帖にも書法があると考えていいと思います。

風信帖のような率意の書を書けるようになるために、まずはその書法(字形や筆遣い)を学びましょう!

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